正直に言って、PDF資料を読むのって疲れませんか?
最近、仕事でも趣味でもPDFを読む機会がやたら増えてきて、「冒頭から全部ちゃんと読んでられない…」という状況になりました。特に会議資料や論文なんかは、毎回最初の1ページで「後で読もう」と思ってそのまま、ということも多くて。
せめて「どんな内容なのかざっくり教えてくれるAI」がいたらな、と思って調べてみたところ、Pythonで意外とあっさり実現できたので、今回はその試行錯誤を記録しておこうと思います。
PythonでPDFを要約するって、どういう流れ?
まずざっくり全体像を説明すると、以下のような流れになります。
- PDFファイルを開く
- ページごとのテキストを取り出す
- 抽出したテキストをまとめる
- 要約エンジンに渡して、圧縮してもらう
この中で一番時間がかかりそうに見えるのは「要約処理」ですが、実際にはここもライブラリがやってくれるので心配いりません。
使用したライブラリ:PyMuPDFとGensim
PythonでPDFからテキストを抜き出すにはいくつか方法がありますが、今回使ったのは PyMuPDF(別名fitz) という軽量で精度の高いライブラリです。
そして、要約には Gensim の summary 関数を使いました。Gensim はトピックモデルなどにも使える自然言語処理ライブラリですが、その中にある summarization モジュールがとても便利です。
インストールは以下のコマンドでOKです:
pip install PyMuPDF gensim
コードを書いてみた(全文あり)
以下が実際に書いたコードです。
import fitz # PyMuPDF
from gensim.summarization import summarize
# PDFファイルを開く
doc = fitz.open("sample.pdf") # 任意のPDFファイルに置き換えてください
# 全ページのテキストを結合
text = ""
for page in doc:
text += page.get_text()
# テキストが短いと要約できないのでチェック
if len(text.split(".")) < 3:
print("文章が短すぎて要約できません")
else:
summary = summarize(text, ratio=0.2)
print("----- 要約結果 -----")
print(summary)
このコードを走らせると、PDFの内容がすべて読み取られて、そこからエッセンスだけを取り出してくれます。
実行結果:8ページの会議資料を要約してみた
試しに、実際の業務で使われた全8ページのプロジェクト資料をこのスクリプトにかけてみました。
現在の業務改善プロジェクトは自動化技術を軸にしており、対象部門の再構成と人材教育が主要な施策である。AI活用によるコスト削減も期待されている。
一瞬で読めるし、しかも「だいたい何が書いてあるか」がちゃんと分かる。これは正直、想像以上の便利さでした。
注意点とつまづきポイント
もちろん、完璧ではありません。以下のようなケースではうまく動かないことがあります:
- スキャン画像で作られたPDF(文字ではなく画像として保存されている)
- ページ内のレイアウトが複雑なPDF(段組みなど)
- 本文が短すぎる資料(要約処理が実行できない)
こういうときはOCR処理や事前加工が必要になります。TesseractなどのOCRライブラリと組み合わせれば、画像ベースのPDFでも文字認識が可能になります。
なぜ自分でやる価値があるのか?
ChatGPTなどのAIサービスでもPDFを読み込んで要約してくれるものはありますが、自分のローカル環境で処理できるというのは大きな利点です。
- セキュリティ上アップロードしたくない社内資料も安心して扱える
- 自動化スクリプトとして定期実行にも組み込める
- PDFの前処理、フィルタ、分析などを自由にカスタマイズできる
つまり、単に「便利」なだけでなく、「制御できる」点がPythonで自作する最大の魅力だと感じました。
応用のアイデアいろいろ
一度この仕組みが作れると、応用も簡単です。例えば:
- フォルダ内のPDFを一括で要約してCSVに出力
- 重要語句を抽出してタグとして管理
- 要約結果をメールやSlackに通知
- Streamlitと組み合わせて社内Webアプリ化
これだけで、ちょっとした業務効率化ツールが作れてしまいます。
まとめ:PDFの「読む負担」を減らすだけで、生活が変わる
PDF資料って、ちゃんと読むと意外と時間を取られるし、読まずに放置するとなんとなく罪悪感が残ります。
だからこそ、自動で「とりあえず全体を把握する仕組み」があると、心理的にもすごくラクになります。
今回のようなシンプルなコードでも、思った以上に実用的で、「読む気が出ないけど、内容だけは知りたい」というニーズに応えてくれます。
まずは1ファイル、ぜひ手元のPDFで試してみてください。
そして「読まなくても分かる安心感」を、あなたも体験してみてください。