情報処理技術者試験解説チャンネル

応用情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験の午後問題では、「過去10年分を確実に理解しているか」が合格ラインを左右するといわれています。当チャンネルでは、その10年分の午後問題を要点だけに絞り、約10分のコンパクトな解説としてまとめました。限られた時間でも効率よく学習を進められる構成です。

PythonでPDFをサクッと要約してみた|時間がない人のための自動要約実験記

正直に言って、PDF資料を読むのって疲れませんか?

最近、仕事でも趣味でもPDFを読む機会がやたら増えてきて、「冒頭から全部ちゃんと読んでられない…」という状況になりました。特に会議資料や論文なんかは、毎回最初の1ページで「後で読もう」と思ってそのまま、ということも多くて。

せめて「どんな内容なのかざっくり教えてくれるAI」がいたらな、と思って調べてみたところ、Pythonで意外とあっさり実現できたので、今回はその試行錯誤を記録しておこうと思います。


PythonでPDFを要約するって、どういう流れ?

まずざっくり全体像を説明すると、以下のような流れになります。

  1. PDFファイルを開く
  2. ページごとのテキストを取り出す
  3. 抽出したテキストをまとめる
  4. 要約エンジンに渡して、圧縮してもらう

この中で一番時間がかかりそうに見えるのは「要約処理」ですが、実際にはここもライブラリがやってくれるので心配いりません。


使用したライブラリ:PyMuPDFとGensim

PythonでPDFからテキストを抜き出すにはいくつか方法がありますが、今回使ったのは PyMuPDF(別名fitz) という軽量で精度の高いライブラリです。

そして、要約には Gensim の summary 関数を使いました。Gensim はトピックモデルなどにも使える自然言語処理ライブラリですが、その中にある summarization モジュールがとても便利です。

インストールは以下のコマンドでOKです:

pip install PyMuPDF gensim

コードを書いてみた(全文あり)

以下が実際に書いたコードです。

import fitz  # PyMuPDF
from gensim.summarization import summarize

# PDFファイルを開く
doc = fitz.open("sample.pdf")  # 任意のPDFファイルに置き換えてください

# 全ページのテキストを結合
text = ""
for page in doc:
    text += page.get_text()

# テキストが短いと要約できないのでチェック
if len(text.split(".")) < 3:
    print("文章が短すぎて要約できません")
else:
    summary = summarize(text, ratio=0.2)
    print("----- 要約結果 -----")
    print(summary)

このコードを走らせると、PDFの内容がすべて読み取られて、そこからエッセンスだけを取り出してくれます。


実行結果:8ページの会議資料を要約してみた

試しに、実際の業務で使われた全8ページのプロジェクト資料をこのスクリプトにかけてみました。

現在の業務改善プロジェクトは自動化技術を軸にしており、対象部門の再構成と人材教育が主要な施策である。AI活用によるコスト削減も期待されている。

一瞬で読めるし、しかも「だいたい何が書いてあるか」がちゃんと分かる。これは正直、想像以上の便利さでした。


注意点とつまづきポイント

もちろん、完璧ではありません。以下のようなケースではうまく動かないことがあります:

  • スキャン画像で作られたPDF(文字ではなく画像として保存されている)
  • ページ内のレイアウトが複雑なPDF(段組みなど)
  • 本文が短すぎる資料(要約処理が実行できない)

こういうときはOCR処理や事前加工が必要になります。TesseractなどのOCRライブラリと組み合わせれば、画像ベースのPDFでも文字認識が可能になります。


なぜ自分でやる価値があるのか?

ChatGPTなどのAIサービスでもPDFを読み込んで要約してくれるものはありますが、自分のローカル環境で処理できるというのは大きな利点です。

  • セキュリティ上アップロードしたくない社内資料も安心して扱える
  • 自動化スクリプトとして定期実行にも組み込める
  • PDFの前処理、フィルタ、分析などを自由にカスタマイズできる

つまり、単に「便利」なだけでなく、「制御できる」点がPythonで自作する最大の魅力だと感じました。


応用のアイデアいろいろ

一度この仕組みが作れると、応用も簡単です。例えば:

  • フォルダ内のPDFを一括で要約してCSVに出力
  • 重要語句を抽出してタグとして管理
  • 要約結果をメールやSlackに通知
  • Streamlitと組み合わせて社内Webアプリ化

これだけで、ちょっとした業務効率化ツールが作れてしまいます。


まとめ:PDFの「読む負担」を減らすだけで、生活が変わる

PDF資料って、ちゃんと読むと意外と時間を取られるし、読まずに放置するとなんとなく罪悪感が残ります。

だからこそ、自動で「とりあえず全体を把握する仕組み」があると、心理的にもすごくラクになります。

今回のようなシンプルなコードでも、思った以上に実用的で、「読む気が出ないけど、内容だけは知りたい」というニーズに応えてくれます。

まずは1ファイル、ぜひ手元のPDFで試してみてください。

そして「読まなくても分かる安心感」を、あなたも体験してみてください。