情報処理技術者試験解説チャンネル

応用情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験の午後問題では、「過去10年分を確実に理解しているか」が合格ラインを左右するといわれています。当チャンネルでは、その10年分の午後問題を要点だけに絞り、約10分のコンパクトな解説としてまとめました。限られた時間でも効率よく学習を進められる構成です。

メッセージダイジェスト、HMAC(Hash-based Message Authentication Code):応用情報技術者試験(レベル3)シラバス(変更箇所)

                   以下に、**メッセージダイジェスト**と**HMAC(Hash-based Message Authentication Code)**について詳しく説明します。

1. メッセージダイジェスト

概要: メッセージダイジェストは、任意の長さのデータを固定長のハッシュ値(ダイジェスト)に変換するアルゴリズムです。これにより、データの整合性を確認するための指標として利用されます。

特徴: - 固定長の出力: 入力データのサイズに関わらず、出力されるダイジェストは常に一定のビット数です(例: SHA-256の場合、256ビット)。 - 衝突耐性: 異なる入力が同じダイジェストを生成すること(衝突)が非常に困難であることが求められます。 - 不可逆性: ダイジェストから元のデータを復元することはできません。

利用例: - デジタル署名: メッセージの改ざんを防ぐために使用されます。送信者がメッセージのダイジェストを計算し、それを署名として送ります。受信者はダイジェストを再計算し、一致するか確認します。 - データ整合性チェック: ファイルの内容が変更されていないか確認するために、ダイジェストを計算して比較します。

2. HMAC(Hash-based Message Authentication Code)

概要: HMACは、メッセージダイジェストを用いたメッセージ認証コードです。データの整合性と認証を同時に提供するために、秘密鍵を使用してハッシュ関数に入力します。

特徴: - 秘密鍵の使用: HMACは、メッセージと一緒に秘密鍵を使用して生成されます。このため、秘密鍵を知っている者だけがHMACを生成でき、正当な送信者であることを証明できます。 - セキュリティ: HMACは、選択したハッシュ関数(SHA-256など)の強度に依存します。適切に設計されているため、耐衝突性や不可逆性が保たれます。

利用例: - API認証: WebサービスAPIを使用する際に、リクエストの整合性と認証を確認するためにHMACを使用します。 - メッセージの署名: メッセージが正当な送信者から来ていることを確認するために、HMACを利用します。

まとめ

用語 概要 特徴
メッセージダイジェスト 任意のデータを固定長のハッシュ値に変換するアルゴリズム 固定長出力、衝突耐性、不可逆性
HMAC(Hash-based Message Authentication Code) 秘密鍵を使ったメッセージ認証コード 秘密鍵の使用、整合性と認証を提供

メッセージダイジェストは、データの整合性を確認するための手段として広く使用されています。一方、HMACは、メッセージの整合性と認証を同時に提供するため、特にセキュリティが重視されるシステムで多く利用されています。これらの技術は、情報の安全性を確保する上で非常に重要です。