情報処理技術者試験解説チャンネル

応用情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験の午後問題では、「過去10年分を確実に理解しているか」が合格ラインを左右するといわれています。当チャンネルでは、その10年分の午後問題を要点だけに絞り、約10分のコンパクトな解説としてまとめました。限られた時間でも効率よく学習を進められる構成です。

PythonとCOBOLの連携: レガシーコードとモダンプログラミングの融合

                   **PythonとCOBOLの連携: レガシーコードとモダンプログラミングの融合**

COBOLは、長い歴史を持つビジネスアプリケーション向けのプログラミング言語であり、多くの企業で広く使用されています。今回は、PythonCOBOLを連携させ、モダンな開発環境と既存のCOBOLコードを組み合わせる方法について説明します。

PythonからCOBOLプログラムを呼び出す

まずは、PythonからCOBOLプログラムを呼び出す手法を見てみましょう。COBOLプログラムをコンパイルして実行可能な形式にし、Pythonsubprocessモジュールを使用して呼び出します。

COBOLプログラムの例 (hello.cbl)

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. HelloProgram.

PROCEDURE DIVISION.
    DISPLAY 'Hello from COBOL!'.
    STOP RUN.

このCOBOLプログラムをコンパイルして実行可能なファイルを生成します。

$ cobc -free -x -o hello hello.cbl

次に、PythonからこのCOBOLプログラムを呼び出します。

Pythonのコード

import subprocess

# COBOLプログラムを実行する
result = subprocess.run('./hello', capture_output=True, text=True)

# 結果を表示
print('Result from COBOL program:', result.stdout.strip())

この例では、Pythonsubprocess.runを使用してCOBOLプログラムを呼び出しています。COBOLプログラムが"Hello from COBOL!"と表示されるはずです。

COBOLからPythonへのデータ受け渡し

次に、COBOLからPythonへデータを渡す手法を見てみましょう。COBOLプログラム内でファイルにデータを書き込み、Pythonからそのファイルを読み込む方法です。

COBOLプログラムの例 (write_data.cbl)

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. WriteDataProgram.

DATA DIVISION.
FILE SECTION.
FD OutputFile.
01 OutputData PIC X(50).
WORKING-STORAGE SECTION.
01 DataToSend PIC X(50) VALUE 'Data from COBOL to Python.'.

PROCEDURE DIVISION.
    OPEN OUTPUT OutputFile.
    MOVE DataToSend TO OutputData.
    WRITE OutputData.
    CLOSE OutputFile.
    STOP RUN.

このCOBOLプログラムをコンパイルして実行可能なファイルを生成します。

$ cobc -free -x -o write_data write_data.cbl

次に、PythonからこのCOBOLプログラムを呼び出し、COBOLから書き込まれたデータを読み込みます。

Pythonのコード

import subprocess

# COBOLプログラムを実行してデータを書き込む
subprocess.run('./write_data')

# Pythonで書き込まれたデータを読み込む
with open('output.txt', 'r') as file:
    data_from_cobol = file.read()

# 結果を表示
print('Data from COBOL to Python:', data_from_cobol)

この例では、COBOLプログラムがファイルにデータを書き込み、Pythonがそのファイルを読み込んでいます。結果として、"Data from COBOL to Python."と表示されるはずです。

プロジェクトにおける利点と考慮事項

PythonCOBOLの連携には、既存のCOBOLコードを再利用しながら、新しい機能や処理をPythonで実装するといった利点があります。ただし、データ型や文字エンコーディングの違いに注意が必要です。

まとめ

今回はPythonCOBOLの連携について基本的な手法を紹介しました。COBOLのレガシーコードとPythonの柔軟性を組み合わせ、現代の開発においても有効に活用しましょう。プロジェクトによって適切な連携方法を選択し、効果的な開発を進めましょう。Happy Coding!