ITエンジニアが仕事に対して思うこと

ITエンジニアとして働く中で感じたことを、現場の温度感そのままに言語化するブログです。設計・実装・運用のリアル、学び続ける負荷、品質とスピードのせめぎ合い、コミュニケーションの難しさなど、きれいごとだけでは語れない「仕事の実態」を整理します。誰かを責めるのではなく、なぜそうなるのかを構造で捉え、明日から少し楽に、少し強く働ける視点を提供します。新人から中堅、マネジメントまで参考に。

情報処理安全確保支援士試験 令和2年秋午後1問3の問題解説

1. 物語の舞台(誰が・何を・どこで)

  • 会社とシステム
     L社はECサイトを運営。買い物額に応じてポイントを付与する「Pシステム」をポイントサービス部が運用しています(図1参照)。問題文は、このPシステムのネットワーク構成と運用を前提に、脆弱性診断の計画づくりを読み解く形式です。

  • 図1の大枠
     本番環境とステージング環境があり、DMZ/DB-LAN/管理LANが分離。各サーバはサービス用NICと管理用NICを二つ持つこと、DMZ→DB-LANはFW1経由であることなどが注記で明示されています。ステージングのデータはテストデータです。

  • 時間帯別トラフィック
     受信量の比率:0–8時 2%、8–16時 55%、16–24時 43%。これが**診断時間帯の最適化(影響最小化)**に効いてきます。

2. 機器の役割(表1と図2の読み方)

  • N-IPS(ネットワーク型IPS)
     「遮断モード」で稼働中。判定は①ホワイトリスト(登録IPは“脅威ではない”扱い)→②脅威通信判定の順で、最初に合致したルールが適用。いまはホワイトリストは空。ここ、設計議論や“なぜ無効化で検出項目が増えるか”の根拠になります。

  • FW1(DMZ⇔DB-LAN)
     必要な通信だけ許可。通常はインターネット→ステージングWebは拒否、利用時だけ許可

  • FW2(管理PCセグメント→各サーバ)
     管理PCセグメント→本番/ステージングの各サーバは許可、それ以外は全拒否。のちに**特定通信の“送信元限定”**ルールへ修正され、接続点変更の話に直結します。

  • 本番DBサーバの“ホスト型IPS”(図2)
     ①ホワイトリスト設定(登録IPのみ許可)と②侵入検知設定(脅威は拒否)から構成。拒否が発生すると“警告灯”が点灯し、運用が緊急対応体制に入る仕掛け。診断時に誤点灯を防ぐ設定変更の論点はここ。

3. 診断サービスの前提(PF診断とWeb診断)

  • 診断の仕組み
     診断PCから対象機器へ通信しレスポンスで脆弱性を確かめます。PF(プラットフォーム)診断は全ポートの検査でOS/ミドルの脆弱性を狙い、Web診断Webアプリの脆弱性を狙う——という二本立てです。

  • Web診断の運用方針
     診断用ユーザIDを作成してポイント付与しログイン診断、未ログインページも診断不可逆なデータ更新が生じる検査はしない。この“診断用ID”は後のレビュー指摘の**「bを削除」**とつながります。

4. 診断計画ドラフト(表2)と会話の要点

  • 会話:N-IPSを“無効化”するか
     無効化するとより多くの脆弱性を検出し得るが、本物の攻撃も通ってしまうリスク。主任は「**N-IPSを無効化せず、設定変更(ホワイトリスト活用)**で対応すべき」と助言。内部(接続点a)からのPF診断も必要と指示。

  • 表2:診断1/診断2の構成
     診断1=本番Webの脆弱性(ネット経路と内部接続点aの両方からPF+Web診断)。診断2=本番DBの脆弱性(接続点eからPF診断)。**「サービスダウンの恐れのある項目も含めて実施」**しつつ、不可逆更新は除外という枠組み。

5. 診断計画レビュー(指摘1〜3)が示す“正解の道筋”

  • 指摘1(Web診断はステージングで)
     本番影響を避けるためにWeb診断はステージングで実施。終わったらFW1を元に戻しステージングの「b」を削除せよ——この**b=“診断用の利用者ID”**に当たるのがポイント。

  • 指摘2(PF診断は本番で、でも影響最小化)
     PFは本番でやる。ただしサーバ停止の影響を最小化するよう計画の一部(=日時)を変更するのが筋。トラフィックが最も少ない0–8時がヒントです。

  • 指摘3(警告灯が点かないよう事前調整)
     運用グループに“機器設定の変更”を依頼し、診断中に誤検知→警告灯→社内混乱を避ける段取りを明示。これは本番DBのホスト型IPSのホワイトリスト+侵入検知の扱いに紐づきます。

6. その後の運用側提案(FW2ルール修正による接続点変更)

  • 経緯
     新任がWeb管理PC→本番DBへログイン試行し警告灯が点灯。再発防止でFW2のルールを修正し、c宛の通信は、dからの通信だけをe(許可/拒否)に。これにより診断2の接続点を(e)→(d)に変更する必要が出た——という流れ。ここでc=本番DBサーバ、d=DB管理PC、e=許可が読み解きの正解方向です。

7. 設問で“どこを拾えば点になるか”(問題文→根拠)

以下は“問題文のどの記述が根拠になっているか”の道案内です。

  • 設問1(1):①の理由
     「N-IPSの脅威通信判定を無効」にするとこれまで遮断されていたPF診断の通信が通るため、“より多く検出”。根拠はN-IPSの遮断モードと判定順序の説明。

  • 設問1(2):②の設定変更
     N-IPSに診断PCのIPをホワイトリスト登録。無効化せずに通したい通信だけ安全に通過させる狙い。

  • 設問1(3):aの接続点
     会話で「図1中の接続点aに接続して診断」と主任が明言。図中の(a)を選ぶ。

  • 設問2(1):b の正体
     「診断用の利用者ID」。Web診断をステージングで行った後、削除すべき対象として合致。

  • 設問2(2):③の計画変更(“何をどう”)
     変更する項目=日時内容=0–8時に実施(影響最小化)。受信量の比率が根拠。

  • 設問2(3):④で変える“機器と設定”
     機器=本番DBサーバ(ホスト型IPS)診断PCのIPをホワイトリスト登録+侵入検知設定を無効化で、警告灯の誤点灯と混乱を防止。

  • 設問2(4):c/d/e
     運用の再発防止策の説明から、c=本番DBサーバ、d=DB管理PC、e=許可が導けます。

8. ひっかけ・読み違いを避けるコツ

  • “無効化”と“ホワイトリスト”の混同
     N-IPSの**無効化(危険)ホワイトリストで通す(安全側の例外)**はまったく別。判定順序(WL→脅威判定)を押さえると一本筋が通ります。

  • “Web診断は本番か?”問題
     Web診断はステージングPF診断は本番という住み分けがレビュー指摘で確定。設問で迷わないように。

  • “警告灯”の発火点
     本番DBのホスト型IPS拒否すると点灯。診断で不用意に点灯させない設定(WL登録や検知無効の一時化)が要件。

  • “最小影響”の裏付け
     **時間帯比率(0–8時が2%)**を必ず根拠に使う。感覚論で“夜ならOK”では点になりにくい。

  • 接続点の取り違え
     診断1の“内部から”は接続点a、診断2は当初**(e)**だが、FW2ルール変更の提案で(d)へ——という前提更新に注意。