1. 物語の舞台(誰が・何を・どこで)
-
会社とシステム
L社はECサイトを運営。買い物額に応じてポイントを付与する「Pシステム」をポイントサービス部が運用しています(図1参照)。問題文は、このPシステムのネットワーク構成と運用を前提に、脆弱性診断の計画づくりを読み解く形式です。 -
図1の大枠
本番環境とステージング環境があり、DMZ/DB-LAN/管理LANが分離。各サーバはサービス用NICと管理用NICを二つ持つこと、DMZ→DB-LANはFW1経由であることなどが注記で明示されています。ステージングのデータはテストデータです。 -
時間帯別トラフィック
受信量の比率:0–8時 2%、8–16時 55%、16–24時 43%。これが**診断時間帯の最適化(影響最小化)**に効いてきます。
2. 機器の役割(表1と図2の読み方)
-
N-IPS(ネットワーク型IPS)
「遮断モード」で稼働中。判定は①ホワイトリスト(登録IPは“脅威ではない”扱い)→②脅威通信判定の順で、最初に合致したルールが適用。いまはホワイトリストは空。ここ、設計議論や“なぜ無効化で検出項目が増えるか”の根拠になります。 -
FW1(DMZ⇔DB-LAN)
必要な通信だけ許可。通常はインターネット→ステージングWebは拒否、利用時だけ許可。 -
FW2(管理PCセグメント→各サーバ)
管理PCセグメント→本番/ステージングの各サーバは許可、それ以外は全拒否。のちに**特定通信の“送信元限定”**ルールへ修正され、接続点変更の話に直結します。 -
本番DBサーバの“ホスト型IPS”(図2)
①ホワイトリスト設定(登録IPのみ許可)と②侵入検知設定(脅威は拒否)から構成。拒否が発生すると“警告灯”が点灯し、運用が緊急対応体制に入る仕掛け。診断時に誤点灯を防ぐ設定変更の論点はここ。
3. 診断サービスの前提(PF診断とWeb診断)
-
診断の仕組み
診断PCから対象機器へ通信しレスポンスで脆弱性を確かめます。PF(プラットフォーム)診断は全ポートの検査でOS/ミドルの脆弱性を狙い、Web診断はWebアプリの脆弱性を狙う——という二本立てです。 -
Web診断の運用方針
診断用ユーザIDを作成してポイント付与しログイン診断、未ログインページも診断、不可逆なデータ更新が生じる検査はしない。この“診断用ID”は後のレビュー指摘の**「bを削除」**とつながります。
4. 診断計画ドラフト(表2)と会話の要点
-
会話:N-IPSを“無効化”するか
無効化するとより多くの脆弱性を検出し得るが、本物の攻撃も通ってしまうリスク。主任は「**N-IPSを無効化せず、設定変更(ホワイトリスト活用)**で対応すべき」と助言。内部(接続点a)からのPF診断も必要と指示。 -
表2:診断1/診断2の構成
診断1=本番Webの脆弱性(ネット経路と内部接続点aの両方からPF+Web診断)。診断2=本番DBの脆弱性(接続点eからPF診断)。**「サービスダウンの恐れのある項目も含めて実施」**しつつ、不可逆更新は除外という枠組み。
5. 診断計画レビュー(指摘1〜3)が示す“正解の道筋”
-
指摘1(Web診断はステージングで)
本番影響を避けるためにWeb診断はステージングで実施。終わったらFW1を元に戻し、ステージングの「b」を削除せよ——この**b=“診断用の利用者ID”**に当たるのがポイント。 -
指摘2(PF診断は本番で、でも影響最小化)
PFは本番でやる。ただしサーバ停止の影響を最小化するよう計画の一部(=日時)を変更するのが筋。トラフィックが最も少ない0–8時がヒントです。 -
指摘3(警告灯が点かないよう事前調整)
運用グループに“機器設定の変更”を依頼し、診断中に誤検知→警告灯→社内混乱を避ける段取りを明示。これは本番DBのホスト型IPSのホワイトリスト+侵入検知の扱いに紐づきます。
6. その後の運用側提案(FW2ルール修正による接続点変更)
-
経緯
新任がWeb管理PC→本番DBへログイン試行し警告灯が点灯。再発防止でFW2のルールを修正し、c宛の通信は、dからの通信だけをe(許可/拒否)に。これにより診断2の接続点を(e)→(d)に変更する必要が出た——という流れ。ここでc=本番DBサーバ、d=DB管理PC、e=許可が読み解きの正解方向です。
7. 設問で“どこを拾えば点になるか”(問題文→根拠)
以下は“問題文のどの記述が根拠になっているか”の道案内です。
-
設問1(1):①の理由
「N-IPSの脅威通信判定を無効」にするとこれまで遮断されていたPF診断の通信が通るため、“より多く検出”。根拠はN-IPSの遮断モードと判定順序の説明。 -
設問1(2):②の設定変更
N-IPSに診断PCのIPをホワイトリスト登録。無効化せずに通したい通信だけ安全に通過させる狙い。 -
設問1(3):aの接続点
会話で「図1中の接続点aに接続して診断」と主任が明言。図中の(a)を選ぶ。 -
設問2(1):b の正体
「診断用の利用者ID」。Web診断をステージングで行った後、削除すべき対象として合致。 -
設問2(2):③の計画変更(“何をどう”)
変更する項目=日時、内容=0–8時に実施(影響最小化)。受信量の比率が根拠。 -
設問2(3):④で変える“機器と設定”
機器=本番DBサーバ(ホスト型IPS)。診断PCのIPをホワイトリスト登録+侵入検知設定を無効化で、警告灯の誤点灯と混乱を防止。 -
設問2(4):c/d/e
運用の再発防止策の説明から、c=本番DBサーバ、d=DB管理PC、e=許可が導けます。
8. ひっかけ・読み違いを避けるコツ
-
“無効化”と“ホワイトリスト”の混同
N-IPSの**無効化(危険)とホワイトリストで通す(安全側の例外)**はまったく別。判定順序(WL→脅威判定)を押さえると一本筋が通ります。 -
“Web診断は本番か?”問題
Web診断はステージング、PF診断は本番という住み分けがレビュー指摘で確定。設問で迷わないように。 -
“警告灯”の発火点
本番DBのホスト型IPSが拒否すると点灯。診断で不用意に点灯させない設定(WL登録や検知無効の一時化)が要件。 -
“最小影響”の裏付け
**時間帯比率(0–8時が2%)**を必ず根拠に使う。感覚論で“夜ならOK”では点になりにくい。 -
接続点の取り違え
診断1の“内部から”は接続点a、診断2は当初**(e)**だが、FW2ルール変更の提案で(d)へ——という前提更新に注意。