インテグリティ(Integrity)とは、データの正確性、一貫性、および信頼性を保つことを指します。データが不正に改ざんされたり、損なわれたりすることは、情報システムにおいて重大な問題を引き起こす可能性があります。以下に、インテグリティを脅かす攻撃の種類とその特徴について説明します。
1. データ改ざん攻撃
- 説明: 攻撃者が正当なユーザーの権限を悪用して、データを不正に変更する攻撃です。
- 例: データベースのレコードを変更する、ファイルの内容を上書きする、トランザクションの金額を改ざんするなど。
2. 中間者攻撃(Man-in-the-Middle Attack)
- 説明: 通信の中間に侵入し、送受信されるデータを傍受・改ざんする攻撃です。ユーザーは、攻撃者が関与していることに気づかない場合があります。
- 特徴:
- SSL/TLSの使用が不十分な場合に発生しやすい。
- 通信内容が暗号化されていない場合、簡単にデータを傍受し、改ざんすることができます。
3. SQLインジェクション
- 説明: 攻撃者が悪意のあるSQLコードをデータベースに送信し、データを不正に操作する攻撃です。
- 影響:
- データの読み取りや改ざんが可能になり、データのインテグリティが損なわれる。
- データベースのテーブルやフィールドを追加・削除することができる。
4. クロスサイトスクリプティング(XSS)
- 説明: 攻撃者が悪意のあるスクリプトをウェブアプリケーションに挿入し、他のユーザーのブラウザで実行させる攻撃です。
- 影響:
- ユーザーが入力したデータを改ざんする、セッション情報を盗む、または不正な操作を実行させることができます。
5. ランサムウェア攻撃
- 説明: データを暗号化し、解読するための金銭を要求する攻撃です。
- 影響:
- データが不可読になり、業務が停止する可能性がある。
- 重要なデータが改ざんされるリスクがある。
6. バッファオーバーフロー
- 説明: プログラムが用意したメモリ領域を超えてデータを書き込むことにより、プログラムの挙動を変更する攻撃です。
- 影響:
- 攻撃者は、システムの管理者権限を取得することが可能となり、データのインテグリティを侵害する操作を行える。
7. ゼロデイ攻撃
- 説明: 既知の脆弱性がパッチや修正が施される前に、攻撃者によって悪用される攻撃です。
- 影響:
- 脆弱性を突かれてデータが改ざんされ、システムのインテグリティが損なわれることがあります。
8. フィッシング攻撃
- 説明: 正当なサービスやウェブサイトに見せかけて、ユーザーの機密情報を盗む攻撃です。
- 影響:
- ユーザーアカウントが不正に操作され、データが改ざんされたり、不正な取引が行われるリスクがある。
まとめ
インテグリティを脅かす攻撃は多岐にわたり、システムの設計や運用においてさまざまな対策が必要です。以下の対策を考慮することが重要です:
- データ暗号化: データの機密性を保つことで、不正アクセスや改ざんを防ぎます。
- 入力バリデーション: アプリケーションへの入力データを検証することで、SQLインジェクションやXSS攻撃を防止します。
- アクセス制御: ユーザーの権限を適切に管理し、データへの不正アクセスを防ぎます。
- セキュリティ更新の適用: 定期的なパッチ管理を行い、既知の脆弱性から保護します。
- 監視とログ記録: 不審な活動を検知するための監視体制を整え、適切なログを記録します。
これらの対策を講じることで、インテグリティを保護し、データの信頼性を確保することができます。